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レポート
春本番の陽気になった2025年3月1日(土曜日)、一般の方を対象にしたアバター・VR体験型ワークショップをco-ba EBISU(東京都渋谷区)にて開催しました。
今回の体験型ワークショップは、バーチャルアテンダントの仕事をされているアバターのらいこんぶ様(スグバース、姫宮VIGサービス合同会社)をゲストにお招きした座談会に始まり、参加者の皆さん同士でアバター・VR体験をしたあとに、感想や疑問を共有したり、新しい日常を想像したりするディスカッションの時間も含めた三部構成で行われました。

開催概要
【日時】2025年3月1日(土)10:00-13:00
【場所】co-ba EBISU イベントスペース PARK(https://co-ba.net/ebisu/)
【主催】慶應義塾大学 サイバーフィジカル・サステナビリティ・センター(CPS センター)
(イベント運営を 特定非営利活動法人 シブヤ大学へ業務委託)
(アバター・VR体験を姫宮 VIG サービス合同会社が提供する出張スグバースにより実施)
【プログラム】
10:00-10:10 開会/はじめに
10:10-10:25 アイスブレイク
10:25-11:25 <第一部> ゲスト座談会
らいこんぶ様(スグバース バーチャルアテンダント)
研究員O(慶應義塾大学 グローバルリサーチインスティチュート(KGRI)共同研究員)
モデレーター:大澤 悠季(特定非営利活動法人 シブヤ大学 学長)
11:25-12:25 <第二部> メタバース体験(アバター・VR 体験)
12:25-12:50 <第三部> ディスカッション
12:50-13:00 おわりに/閉会
ワークショップの様子
アバターで働いているってどういう人たちなんだろう…?一体何をするんだろう…?と最初は緊張の面持ちだった参加者の皆さんが、みるみる表情が明るくなり、短い時間ながら、自分なりの等身大の向き合い方をお考えになってワークショップを楽しまれていたのがとても印象的でした。
ここでは、参加された方からの感想レポートをご紹介します。
参加された方からの感想レポート
今回のワークショップで、なんと!メタバースの世界を体験してきました。
ワークショップに参加する前、私はメタバースの世界について、そもそもどうなっているのか、どんな人がいるのか、なぜ入るのか、何もわかっていませんでした。
ですが、今回、「メタバースの中にほぼ住んでいるゲスト」と「中と現実を行き来しているゲスト」のお話を聞き、さらに「メタバースの中に入る」という体験をさせていただきました。

ワークショップのゲストは、「中にほぼ住んでいる」らいこんぶさんと、「中と現実を⾏き来している」研究員Oさんのお⼆⼈です。
らいこんぶさんは、2018年頃からVRの世界で活動を始め、現在はスグバースというVR体験の機会を提供する会社で、メタバースの世界の案内⼈としてお仕事をされています。メタバースの世界で仕事をし、趣味も楽しんでおり、ほとんど中で⽣活されているようです。
⼀⽅、研究員Oさんは、慶應義塾⼤学のサイバーフィジカル・サステナビリティ・センター(CPSセンター)にて、メタバースがどのようにして社会に普及していくかについての研究活動をされています。Oさんは、らいこんぶさんとは違い、仕事はリアルの世界でされていますが、週に⼀度、メタバース上にご友⼈たちと遊びに⾏っているそうです。

では、早速ですが、「メタバース」とは何なのでしょうか?
Oさんは、メタバースという言葉を狭い範囲で捉えるべきではないといいます。「3D空間で⾏われるあらゆること」を指す⾔葉で、とても広い意味を含む概念だそうです。私の中では、ゴーグルをして⼊る世界?とか、VTuberのイメージが強かったのですが、それだけではないそうです。例えば、⾏政サービスをメタバース上で受けられるシステムがあったり、メタバース空間に学校があり、不登校の⼈が授業を受けられたりと、よりインタラクティブな活動の場として進化しているといいます。

話を聞けば聞くほど、メタバースの世界にどんどん興味が湧いてきます。ここからは、参加者からゲストのお⼆⼈に⾊々と質問をぶつけていきます。
まずは、「なぜメタバースの中に⼊るようになったのか?」について。
Oさんは、「そこに会いたい誰かがいること」が⼤事だとおっしゃっていました。例えば、らいこんぶさんのように中を案内してくれる⼈や、趣味の仲間など、会いたいと思う友⼈がいることで、定期的にメタバースに⼊る習慣ができたそうです。らいこんぶさんは、家にいながら、世界中の⼈と通信ができたり、趣味の活動ができたり、また仕事の⾯では、出勤が必要なく、24時間好きな時間に働けるという点もメタバースの魅⼒とのことでした。

次は、「メタバースの空間では⼈を信頼できるの?」という質問です。
確かに、メタバースの中では、みんな「アバター」を使います。顔も年齢もわからない⼈と信頼関係を築けるのか、気になる参加者は多そうでした。しかし、らいこんぶさん⽈く、対⾯のときと⼤きな差はないとのこと。現実世界の⾃分とは全く違う⼈格としてアバターを使う⼈も中にはいるそうですが、⼤半がリアルと同じ雰囲気のアバターを選んでいるそうです。また、信頼関係については、リアルでもすぐに⼈を信頼できないのと同じように、メタバースの世界でも、何度も交流を重ねていくうちに、徐々にその⼈との信頼関係が構築されていくそうです。外⾒要素にとらわれず中⾝を通して知ることができるという点では、現実世界よりもその⼈のことをきちんと⾒ようとするかもしれません。現実とメタバースの空間をかなり引き離して考えてしまいがちですが、意外とリアルと変わらない世界が広がっているみたいです。

さあ、リアルとメタバースの空間は意外と⼤差ないと聞いて、みんなの頭に疑いの気持ちが広がったところで、いよいよ実際に体験をしてみます。らいこんぶさんが仕事をされているスグバースのスタッフの⽅々のご協⼒のもと、ゴーグルを装着させていただきました。

ゴーグルをつけて、⽿にイヤホンをつけると、完全にメタバースの世界に⼊り込みます。中は3Dの芝⽣のような空間が広がっており、⼿の器具を使って、⾛り回ったり、⽅向転換できたりします。⾃分の頭を動かすことで、視界が動かせるので、試しに⾃分の⼿元を⾒てみるとびっくり!⾃分が狼のキャラクターをしたアバターだったことに気づきます。アバターによっては⾝⻑を変えることもできるので、リアルでは味わえない⾼さの視界も体験できます。(私は普段より20センチも⾝⻑が⾼い世界を体験できました!)

らいこんぶさんの案内のもと、私たちのグループは深海へ⾏ってきました。海の中に⾶び込んで、奥へ進んでいくと、⼤きなマンタが真横を通り過ぎたり、深海の奥深くに昆布が茂っていたり。(昆布の森に埋もれて迷ってしまう参加者もいました笑)3D空間なので、海の奥⾏きや⿂が迫ってくる感覚など、リアルに感じることができ、参加者の中には酔ってしまう⽅もいらっしゃいました。実際は椅⼦に座っているはずの⾃分が、海の中で泳いでいるというのは、とても不思議な感覚でした。

体験後は、3つの問いをもとに、参加者同⼠でディスカッションの時間です。
ここでは、参加者の皆さんから出た声の⼀部をご紹介します。
Q1「座談会・体験を通して、メタバースのイメージは変わった?」
・イメージ通りだった
・印象はそこまで変わらなかった
・イメージがガラリと変わった
・思ったよりもリアルだった
・ゲーム好きの⼈たちの閉じられた世界というイメージから、だいぶ敷居が低くなった
Q2「⾃分の⽇常(仕事・家事育児・趣味)にメタバースという選択肢ができたら、どんな⾵に活⽤したい?」
・病院に⾏くほどではないけど体調不良のときに気軽に医師に相談できたらいい
・現実の⾃分の能⼒ではできないこと(例えば楽器の演奏など)がバーチャルで可能になったら楽しそう
・遠くに住む友⼈と⼀緒に活動してみたい
・メタバースの世界で⾊々な仕事をしてみたい
Q3「メタバースがもっと⾝近になったとき、どんな部分がネックになりそう?まだ馴染めない部分ってどこだろう?」
・VRゴーグルの⼤きさ、装着したときの暑さが気になる
・酔う、⽬が疲れる
・アニメ⾵のアバターのデザインがどうしても苦⼿で尻込みしてしまう
・まだメタバース上での本⼈確認が難しいということで、なりすましや犯罪が⼼配

今年の⼤阪万博では、バーチャル会場も⽤意されています。この節⽬の年に、メタバースが⽇本でどれだけ進化しているのか、実際に⾃分の⽬で確かめてみてはいかがでしょうか?
レポート:中村ひかる、写真:鈴⽊夏奈
( 特定非営利活動法人 シブヤ大学 ボランティアスタッフ)
ご参加頂いた皆さん、ならびに、座談会ゲストでお越し頂いたらいこんぶ様、アバター・VR体験のスグバースのスタッフの皆様、座談会モデレーターならびにイベント運営をご支援頂いたシブヤ大学のスタッフの皆様、ありがとうございました。
※今回は機材と会場の都合で定員16名の抽選申込制とさせて頂きました。残念ながら抽選に漏れた方、ご容赦くださいますよう、よろしくお願いいたします。
本イベントのご案内サイトはこちら
記載の所属・職位は実施当時のものです。
本イベントは、CPS研究会の一環としてJSTムーンショット型研究開発事業JPMJMS2215の支援を受けています。