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2025.11.20
  • レポート
【開催レポート】VR/ROBOTICS講演会/CPS研究会「持続可能なサイバー・フィジカル社会を考える」 (2025.10.18開催)

【開催概要】
2025年10月18日(土)13:30‐17:30  慶應義塾大学三田キャンパス
 南校舎ホール(南校舎5階)

今回のセミナーでは、VR技術やロボット技術についてこれまでの技術の発展の歴史を簡潔に振り返り、どれくらいの時間をかけて世の中に普及してきたか、また、普及に至るまでにどのような環境の変化や世の中の受け止め方の変化があったのかについて俯瞰するために、3名の講演者に話を伺った。
VRの歴史とその可能性については、テレプレゼンスやイマーシブ・コンテンツを長年研究している南カリフォルニア大学Scott Fisher教授にご講演いただき、ロボット技術については、人と同じようにモノを持つ、あるいは人と握手をする際に必要な力触覚(ハプティクス)技術を研究している慶應義塾大学 野崎貴裕准教授にご講演いただいた。
ビジネスサイドからのご意見として、VR技術を活用して新たな価値創造に取り組んでいるリデル株式会社 福田晃一社長より、SNSで多くの登録者数を持つインフルエンサーに着目し「インフルエンサー・マーケティング」というサービスを提供するに至った過程と今後のVR技術の普及について俯瞰していただいた。

 パネルディスカッションでは、「技術の発展と社会的受容性について」、「安心と安全」について各パネリストからご意見を伺ったところで、会場から質問を受けた。
最後に「持続可能なサイバー・フィジカル社会とは?」という点についてまとめに代えてご意見を伺った。

【当日のプログラム】

13:30   開会の挨拶 慶應義塾大学 法学部  教授 君嶋 祐子 CPSセンター代表


13:45   講演1  
   ”The History and Potential of XR for Human-Robot
   Interaction and Remote Presence Applications
    Professor Scott Fisher, University of Southern California
   School of Cinematic Arts, Director, USC Mobile &
    Environmental Media Lab 


14:35   講演2 
   「人とロボットとのサステナブルな関係は可能か? 
   〜人とロボットが握手をするために〜」
   慶應義塾大学 理工学部 准教授 野崎 貴裕


15:15 講演3 
   「社会受容としてのビジネスモデル 
   〜SNSとメタバースのビジネスチャンスは?〜」
   リデル株式会社 代表取締役社長 福田 晃一

15:45 休憩



16:00  パネルディスカッション 「VRやロボット等の新しい技術が世の中に浸透するには?」
   登壇者:Prof. Scott Fisher、野崎貴裕准教授、福田晃一社長、進行:稲熊律夫特任教授

【パネルディスカッションの内容】

「技術の発展と社会的受容性について
〈問〉例えば、Head Mount DisplayやVRゴーグルは20年以上前からあるが、何がきっかけで今日メタバースとして普及したと考えられるか。

〈答〉ハリウッドでは3D GraphicsやVFXが取り入れられるようになってきて、USCでは安くコンテンツが作れるような取り組みをして、制作会社が参入しやすい環境をつくってきた。
また、メーカーが手ごろな価格で提供し、ユーザーが楽しめるようになることも大事である。


〈問〉ロボットはすでに生産現場では普及しているが、今後人に身近なものになっていくには何が必要か。

〈答〉費用対効果の観点が必要。例えば、ハードを変えずにいろいろできる多機能性が求められ、ロボットにユーザーが学習させなくても使えるようになることも求められると思われる。
なお、価格帯としては、自動車の価格でロボットが生産できるところにまで来ている。


〈問〉VRに触れたことのない人達にもVRは今後普及すると思うか。

〈答〉コンテンツの広がりと、コンテンツの利用形態に依存するが、AIの活用によって、付加価値が増えると考えられる。


「安心と安全
〈問〉SNSの世界ではデータの保護や正確性でいろいろな議論がなされているが、安心・安全への取り組みはどのように考えるか。また、ロボットは誤動作の心配はないのか。
〈答〉厳格な規制はマーケットをとめるので、慎重な議論が必要。ロボットの誤動作に関しては、同じ間違いを繰り返さないようにできる点で、人間よりは不確実性が低いと言える。
VRの世界に没入してしまうと、現実の世界との錯誤状態を経験することがある。ただし、継続して使用することで慣れてくる。

「持続可能なサイバー・フィジカル社会とは?
〈問〉サイバー・フィジカル社会にはビジネスチャンスがあるか。
〈答〉 AIと組み合わせた、空間クリエイティブの体験は付加価値があると考えられる。ロボットは実時間と実空間に存在するので、その意味で常にリアルな存在と考える。また、ロボットは日本が先行できる分野であると考えられる。


17:15 閉会の挨拶 慶應義塾大学 法学部  教授 君嶋 祐子  CPSセンター代表