NEWS&EVENTS

2025.11.11
  • NEWS
  • レポート
【開催レポート】CPS研究会シンポジウム「サイバネティック・アバター(CA)と法」( 2025年10月19日開催)

 【背景】
 サイバネティック・アバター(CA)、すなわち人の分身であるアバターがサイバー空間で利用され、また、フィジカル空間でもロボットをアバターとして使用する研究や実用化が進められている。生身の人間や法人が主体となって活動することを前提に作られている現在の法制度の下で、CAを利用して人が活動するようになると、どのような可能性が生まれ、どのような問題が生じると考えられるか。
 CPS研究会においては、CAの実用化に伴い生じ得る法的問題について、それぞれの法分野を専門とする法学者や弁護士が分担執筆した19本の論文を体系書として編集収載した書籍、君嶋ほか編『サイバネティック・アバター(CA)と法』(弘文堂)を、2025年10月に刊行した(出版詳細は、書籍画像をクリック)。
 本シンポジウムでは、そのうち、民法、知的財産法、情報法、競争法等の研究成果について講演を行った後、パネルディスカッションにおいて意見交換、質疑応答を行うこととした。

【当日の様子】
 当日は、上記書籍『サイバネティック・アバター(CA)と法』における論文執筆者中9名が、後掲【プログラム】の講演①~⑥を行った。一部の講演においては、関連論点について最新情報も報告された。
 パネルディスカッションにおいては、各登壇者から各法分野における今後の課題や検討が必要となる事項が挙げられるとともに、特に、無体物アバターの利用・取引について、著作権と人格権等との関係、データの取扱い、アーキテクチャやプラットフォームによる対応の可否、実務的対応や立法の必要性といった多様な視点から、活発な分野横断的議論がなされた。その際、会場から、君嶋祐子教授、斉藤邦史准教授からの発言もあった。
 シンポジウム終了後も、しばらくの間、登壇者および参加者らが熱心に意見交換をするなど、盛会のうちに終了した。
【参加状況】
 参加者合計34名(登壇者11名/一般23名)(申込50名)
執筆者の斉藤邦史准教授、飯田圭弁護士も一般参加者に含む

【会場】慶應義塾大学三田キャンパス北館1階ホール(対面のみ)
【使用言語】日本語
【講演者】栗田 昌裕(名古屋大学大学院法学研究科教授)
     田中 浩之(森・濱田松本法律事務所外国法共同事業弁護士、慶應義塾大学
          大学院法学研究科特任教授)
     松井 佑樹(同法律事務所弁護士、同大学院法学研究科研究員)
     嶋村 直登(同法律事務所弁護士)
     幸田  遼(同法律事務所弁護士)
     飯野 悠介(同法律事務所弁護士)
     渕川 和彦(慶應義塾大学法学部准教授)
     茂木 明奈(白鷗大学法学部准教授)
     佐藤 巴南(弁護士)

【挨拶】君嶋 祐子(慶應義塾大学 法学部教授、CPSセンター 代表)
【司会】麻生  典 (同大学大学院法務研究科准教授)

【プログラム】
13:30 開会の挨拶 君嶋 祐子
 <第1部>
13:40 講演① 「CAの法主体性と人格権侵害」 栗田 昌裕
14:00 講演② 「キャラクターの知的財産法による保護とCA」  松井 佑樹
14:20 講演③ 「CAにまつわるデータの利活用」 田中 浩之/嶋村 直登/幸田 遼

14:40 講演④ 「CAと契約」 茂木 明奈
15:00 講演⑤ 「CAと不法行為責任 田中 浩之/飯野 雄介/佐藤 巴南
15:20 講演⑥ 「プラットフォーム規制」 渕川 和彦 

 15:40  休   憩
  <第2部>
 15:55  パネルディスカッション

16:50  閉会の挨拶 君嶋 祐子