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【開催の概要】
サイバネティック・アバター(CA)には、人の分身として操作されるメタバース上のアバターや、アバター・ロボットなどがあり、CAの普及は、働き方に新たな可能性をもたらす一方で、従来の労働法が想定していなかった課題が浮き彫りになる可能性を有する。本講演では、CAと現行の労働法との関係にフォーカスし、労働時間管理、安全配慮義務及び安全衛生等、CAを利用する場合の労働法上の諸問題と今後の課題について整理した研究成果を発表した。
【講演者】 上田 雅大 (森・濱田松本法律事務所 外国法共同事業パートナー弁護士)
【日時】 2025年11月18日(火) 18:15~20:00
【会場】 慶應義塾大学 三田キャンパス 北館1階ホール
【主催】 慶應義塾大学サイバーフィジカル・サステナビリティ・センター(CPSセンター)
【司会・挨拶】 君嶋 祐子(慶應義塾大学法学部教授、CPSセンター代表)
<背景>
サイバネティック・アバター(CA)、すなわち人の分身であるアバターがサイバー空間で利用され、また、フィジカル空間でもロボットをアバターとして使用する研究や実用化が進められている。生身の人間や法人が主体となって活動することを前提に作られている現在の法制度の下で、CAを利用して人が活動するようになると、どのような可能性が生まれ、どのような問題が生じると考えられるか。

<講演の概要>
労働法、IT法に詳しい上田雅大弁護士が、CAを使った働き方が今後普及していくにあたって、日本の現行労働法上問題となり得る事項、課題について講演した。CAの操作者が日本の労働法上の「労働者」である場合に、日本のCAを通じた労働の普及と現行労働法との諸問題を「採用」、「労働時間管理」、「安全衛生・安全配慮義務・労働災害」、「ハラスメント」、「賃金規制」の各項目について考察した。また、「準拠法・裁判管轄」、「プライバシー」についても考察した。今年度の研究は、想定事例についての労働法上の問題点の網羅的抽出と考察であり、当面は、事例に応じて法解釈の工夫やガイドラインで対応すべきである。
<当日の様子>
質疑応答の時間では、複数のアバターで勤務した場合の賃金の考え方や、自律CAに対するのと人が操作しているCAに対するのとでハラスメントを区別すべきであるかどうか等についての質問が投げられ、また司会の君嶋祐子教授からも発言があり、活発な議論が交わされた。
<参加状況>
合計名13(登壇者2名/一般9名/主催スタッフ2名)
【プログラム】
18:15~18:30 開会の挨拶 君嶋 祐子
18:30~19:30 講 演
「サイバネティック・アバター(CA)に関連する労働法上の諸問題」
1. はじめに
2.サイバネティック・アバター(CA)とは
3.CAを通じた労働の普及と現行労働法との諸問題
19:30~19:45 質疑応答
19:45~20:00 閉会の挨拶 君嶋 祐子